2023年11月7日
お酒造りに大事なものは「お米」だけと思われていませんか?
様々なお酒の売り場で日本酒を見ていると、使用している「お米」を謳った商品は非常に多く見受けられますが、使用している「水」について前面に押し出している商品は意外と少なく感じられます。
日本酒の香味は、酒造りに使う水によっても大きく変わります。なかでも、水に含まれるミネラル分の量が、最も大きな影響を与える要素の一つであると言われています。
おいしいお酒や特徴あるお酒を醸す上で「お米」が重要な要素である事は当然でありますが、日本酒の成分の8割が「水」であると言われることから、その重要性はお米に匹敵するものであろうと私たちは考えています。
醉心は、「軟水」による酒造りで、なめらかな風味のお酒を醸して来ました。そして、この酒造りには、地元・三原の井戸水(軟水)を使用しておりました。しかし、あるときその軟水の水質が変わり始めていることに気が付きました。ミネラル分の含量が少しずつ増えていたのです。
20年以上前のその時から、新たな軟水の水源の探索が始まりました。軟水醸造の『醉心』の風味、横山大観先生が愛した、その味わいを守るためです。
しかし、その道のりは大変なものでした。ここは、というような場所が見つかったとしても実際に井戸を試掘し、その水を確かめてみなければ水の良し悪しはわかりません。何本もの井戸を試掘したものの、思うような軟水を得ることはできない中、数年の歳月が流れました。
そして徐々に探索範囲を広げ、とうとう広島県の中央の町、福富町にたどり着きました。この町は、蔵まで毎日水を運び、お酒造りを行うにはぎりぎりの距離。福富町にそびえる、標高922メートルの「鷹ノ巣山」の麓にここぞという場所を見出し、井戸を試掘しました。ちなみに、鷹ノ巣山の山頂にはぶなの原生林が繁茂しています。
そこで得た水を、水の権威である旧広島電機大学・教授の故佐々木健先生にご検分頂きました。水に含まれるミネラル分の量を硬度という指標で表し、WHOの基準では「硬度120以下」を軟水としています。鷹ノ巣山山麓の井戸水の硬度は14、佐々木先生から「稀に見る軟水」とのご評価を頂きました。この軟水が、いかに純度の高い水かご理解いただけると思います。
そして、「なめらかな口当たりで飲み飽きしない、すっきりした辛口のお酒」をコンセプトに、この「ぶなの原生林」の麓で汲み上げる軟水による酒造りに初めて挑戦。試行錯誤の連続でしたが出来上がったお酒に『ぶなのしずく』と名付けて商品化し、現在に至っております。
ところで、皆様の記憶にも新しいと思いますが、今年、広島にてG7広島サミットが行われました。その際、醉心のお酒が使用されました。この商品は「大粒ダイヤ」というお米を使用して醸したもので、その後限定で販売して好評を得ました。
そしてこのたび、原料米には好評であった上記の「大粒ダイヤ」を100%使用、福富町で汲む「稀に見る軟水」を用いて醸した「純米大吟醸」を、「ブナのしずく」の新しい商品として発売する運びとなりました。
正式な商品の発売は来年3月を予定しておりますが、醉心通販サイトにて12月より先行販売を開始いたします。加えて一部ではございますが、いくつかのお店にて試飲販売を開催いたします(税込価格 3,300円)。
試飲会の開催店につきましては詳細が決まり次第お知らせさせていただきます。
3月の発売以降は「ネット通販」と「試飲販売時」のみの限定商品となります。
20年以上かけて培ってまいりました、軟水仕込みのひとつの集大成となるこのお酒、ぜひご期待ください。